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feed 宝物殿 【書物編その1】 (2007-10-15 23:38:45)

「高賀宮記録」

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 高賀神社の縁起を伝える古文書が、''' 「高賀宮記録」 '''宝物殿に保管されています。

「高賀宮記録」は、当初文治二(1186)年に書かれ、その後応安三(1370)年、永正十四(1439)年、と改書、追記されており、現在残されているものは、文化九(1812)年神主、武藤市之進太夫により改書されたものとされています。

 実際は、文治二年でも、応安三年でもなく、文化九年に書かれたものではないかとの説もあります。(旧洞戸村史)

 文化9年に改書されたとされた頃は、平田篤胤らの国学思想が勃興している時期で、「高賀宮記録」が神道至上主義の影響を受けて書かれているようにも見受けられ、当時の神主武藤市之進太夫が、時世にならって神社の縁起を書き記したとも言えるでしょう。

 ただ、ここで気になるのは、この記録にある''' 二つの魔物退治 '''の内容です。
 ブログの「伝説」の箇所でも書いていますが、昔から言い伝えられていた争いを、魔物退治に置き換えて書かれてあるとすれば、この古文書も一神社の縁起書だけでなく、貴重な歴史書物としての価値も出てくるのではと思います。


    ''' ※ 高賀宮記録(訳) http://www.horado.com/kouka/miyakiroku.html '''

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高賀の郷の集落です。・・・山あいにひっそりとした静かな風景です。

             

  '' 「高賀宮記録」にある最初に都から藤原の家臣団が高賀の郷へ来た時のくだりです。 ''

''' 【当宮の始まりは、霊亀年中より夜な夜な怪しい光が都の上空を飛び交い、人々を驚かしては、北東の方角へ飛び去って行った。
 養老元年、御門より都の北東の位置にある山々を捜索するよう藤原家の家臣に命令が出された。藤原家の家臣団は、当山をはじめ、方々の洞、谷を捜索しても怪しい光の出所は解らなかった。】 '''

 光は、星、隕石とも通じ、鉱山は稲妻や隕石の光が山に落ちてそれが基で金、銀、銅、マンガン等々鉱物が出来ると信じられていました。
 高賀山のある洞戸地区は「鉱物の博物館」といえるほど、少量ではあるが多種の鉱物が採取される場所しとしても有名な所なのです。

 鉱脈を見つけ、それを呪術として扱う者が修験者であり、修験者は虚空蔵菩薩信仰を高賀神社に持ち込んでいます。
 また、虚空蔵菩薩信仰は「明星信仰」と密接につながっており、「光」「鉱山」「高賀山」「修験者」「虚空蔵菩薩信仰」「星信仰」といったキーワードが何らかのかたちで繋がっていきます。

 高賀山一帯が、鉱物の採取できる地域であったため、修験者が早くから虚空蔵菩薩信仰をこの地に持ち込み、独自の信仰地域を作り出していたと考えられます。


 '' 「高賀宮記録」にある最初の妖魔退治のくだりです。 ''

''' 【六十代醍醐天皇の代の頃より、またこの山中の北東の方角に妖魔が住み、その様相、鳴き声は牛に似ていて山洞にその声が響きとても恐ろしい獣である。・・・】 '''
 
 妖魔=高賀の郷に住んでいた先住民、または渡来系の住民を蔑視を込めた言い方で、「牛の角を生やした大鬼」と称して、時の権力者である藤原氏の家臣団が、ここ高賀山の麓へも来たのだと思えます。
 そしてその先住の人たちを、「鬼退治」として服従させていったのだとしたら、この妖魔退治の話も理解しやすくなるのではないだろうか。
 


 '' 「高賀宮記録」にある二回目の悪魔退治のくだりです。 ''

''' 【この後悪魔が住みさまざまな災いをもたらした。悪魔は近江の国へ通い、大群で夏に雪霜を降らせて五穀を枯らしてしまい飢饉の年が続いた。・・・山に忍び入り聞いた声が雉の鳴き声に似たものであり、その形は見定めることができずまた、山々を飛び周り居場所を特定することもできなかった。】 '''
 
 ここでの悪魔は、木地師を想定していると思われ、木地師の発祥地は近江の国であり、10世紀には美濃の国に入ってきています。つまり、地元民と木地師との山の利権をめぐっての争いを暗示しているように考えられます。 (参考:洞戸村史上巻)

 
 


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