Re: 洞戸その名の由来を探る
montas
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rouyoshiさん:洞戸村の『洞』の考察(第三段)
全国的に見て『洞』のつく地名(集落・地区名、谷・沢の名)が中農から東農、すなわち濃尾平野の北から東の端に集中していることを話しましたが、もう一箇所集中している地域があります。それは岩手県の北上山地南端の一帯、すなわち盛岡、遠野、釜石、一関、江刺で囲まれる地域です。
最初、岩手県に『洞』がつく地名がたくさんあるのは鍾乳洞に起因する「洞(どう)」のためだろうと推定していましたが、これは間違いでした。確かに岩手県には鍾乳洞が多いのでこれに関係するものが相対的には多いのですが、やはり美濃地方と同じく「洞(ほら)」が圧倒的に多いのです。
大洞(おおほら)、長洞(ながほら)、栃洞(とちほら)など美濃地方と同じような集落名が並んでいます。珍しくは雪洞(ぼんぼり)で、さすが北国。『洞』の文字がつく集落・地区名が56件、谷や沢が5件と美濃地方に比べれば、数的には5分の一ほどで分布密度も小さいですが、はっきりした地域集中を示しています。日本にはこの2箇所以外に『洞』つき地名が集中しているところは見られません。
この二つの地域にはどんな共通点があるのでしょうか。
平野から山地への変わり目という意味で、地形的共通点がありますが、単にそれだけなら日本全国には似た地域はもっとたくさんあります。韓国では‘洞(とう)’を行政区域の最小単位として使うことがあった(ある?)そうですが、日本でも遠い昔、このあたりの為政者が同じように、行政区域・共同体の最小単位として『洞』の名前を使うことがあったのかもしれません。すなわち、この二つの地域は平安の世か戦国の世に、為政者にとって『洞』を使うべく統治上の何か似た関係があったのかも、などとますます想像をたくましくしています。
ところで、たとえば銚子洞(板取村)、オオレ洞(高賀山の北)など深山幽谷の谷・沢を、『?洞(ほら)』と語尾に洞(ほら)をつけて命名するのは美濃地方の山間部とせいぜいその周辺にしかないようです。一つだけ岩手県に「大馬ヶ洞」という谷の名がありますが、これは「おおばけどう」と読み、「ほら」とは読まないようです。辞書には、洞(ほら)とは谷・沢の意味もある、とありますが、実際に好んで谷・沢の命名の語尾に洞(ほら)を使うのは美濃地方とせいぜいその周辺だけのようです。集落・地区名の『洞』と谷・沢の『洞』は深い関係があると思うのですが、ニュアンスがどこか違う気もします。
全国の地図を見ていて分ってきたことは、洞戸の名の由来は、板取川全体の広大な渓谷からイメージするものではなく、もっとローカルな、人々の日常的生活空間から感じとれる地形によると思うようになりました。村史にある谷の集合場所説がもっとも有力でしょう。
全国的に見て『洞』のつく地名(集落・地区名、谷・沢の名)が中農から東農、すなわち濃尾平野の北から東の端に集中していることを話しましたが、もう一箇所集中している地域があります。それは岩手県の北上山地南端の一帯、すなわち盛岡、遠野、釜石、一関、江刺で囲まれる地域です。
最初、岩手県に『洞』がつく地名がたくさんあるのは鍾乳洞に起因する「洞(どう)」のためだろうと推定していましたが、これは間違いでした。確かに岩手県には鍾乳洞が多いのでこれに関係するものが相対的には多いのですが、やはり美濃地方と同じく「洞(ほら)」が圧倒的に多いのです。
大洞(おおほら)、長洞(ながほら)、栃洞(とちほら)など美濃地方と同じような集落名が並んでいます。珍しくは雪洞(ぼんぼり)で、さすが北国。『洞』の文字がつく集落・地区名が56件、谷や沢が5件と美濃地方に比べれば、数的には5分の一ほどで分布密度も小さいですが、はっきりした地域集中を示しています。日本にはこの2箇所以外に『洞』つき地名が集中しているところは見られません。
この二つの地域にはどんな共通点があるのでしょうか。
平野から山地への変わり目という意味で、地形的共通点がありますが、単にそれだけなら日本全国には似た地域はもっとたくさんあります。韓国では‘洞(とう)’を行政区域の最小単位として使うことがあった(ある?)そうですが、日本でも遠い昔、このあたりの為政者が同じように、行政区域・共同体の最小単位として『洞』の名前を使うことがあったのかもしれません。すなわち、この二つの地域は平安の世か戦国の世に、為政者にとって『洞』を使うべく統治上の何か似た関係があったのかも、などとますます想像をたくましくしています。
ところで、たとえば銚子洞(板取村)、オオレ洞(高賀山の北)など深山幽谷の谷・沢を、『?洞(ほら)』と語尾に洞(ほら)をつけて命名するのは美濃地方の山間部とせいぜいその周辺にしかないようです。一つだけ岩手県に「大馬ヶ洞」という谷の名がありますが、これは「おおばけどう」と読み、「ほら」とは読まないようです。辞書には、洞(ほら)とは谷・沢の意味もある、とありますが、実際に好んで谷・沢の命名の語尾に洞(ほら)を使うのは美濃地方とせいぜいその周辺だけのようです。集落・地区名の『洞』と谷・沢の『洞』は深い関係があると思うのですが、ニュアンスがどこか違う気もします。
全国の地図を見ていて分ってきたことは、洞戸の名の由来は、板取川全体の広大な渓谷からイメージするものではなく、もっとローカルな、人々の日常的生活空間から感じとれる地形によると思うようになりました。村史にある谷の集合場所説がもっとも有力でしょう。
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洞戸その名の由来を探る
(montas, 2005-10-11 14:39)
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